2020年01月12日

奮闘記・第1094回 研修会のツボ/千葉県千葉市

●2019年● 千葉県千葉市

千葉市社会福祉研修センター

令和元年 フォローアップ研修(2日目)
ICFを意識した介護記録の書き方講座
〜生活機能分類の項目を意識して記録を書いてみましょう〜


さて、今回は前回に引き続いて、フォローアップ研修、その2日目である。佐藤はまた宿泊先のそばにある千葉神社へ参拝後、会場へと向かった。会場には昨日からの参加者の他新たなメンバーも加わりさらに会場は賑やかであった。


●千葉神社と「けろちゃん」●.jpg

●千葉神社と「けろちゃん」●



今回の研修の題目は「ICFを意識した介護記録の書き方講座」である。昨日の研修に参加したかたは、このICFを意識することの重要性に気づかれていると思うが、本日から参加した方には急にその話をしても難しい。まぁ、ゆるゆると進めていきますわ。

■研修で行ったこと
(1)支援をするために必要な帳票(演習・講義)
(2)記録の書き方トレーニング(講義)
(3)手順について考える 生活の多様性について考え
(4)生活機能分類について(課題抽出法) ※事例参照
(5)記録の書き方トレーニング(演習)
(6)発表

記録と言っても利用者支援に必要な記録物って様々な種類がある。そのすべての帳票類に、何を、どのように、書けば良いのか知っているのだろうか? 

例えば、利用者の基本情報を記述する「フェースシート」それから計画作成に必要な「アセスメントシート」「個別援助計画書」「モニタリング記録」「会議録」「介護記録や支援経過記録」などなど。

ここでは、それらの帳票類はなぜ必要なのか? その根拠を書き出していただいた。まずは、自分で考えて、グループメンバーと語り合いからである。話し合い(談合ではない)はすべての基本であるからだ。

自分で考えているときは、「何となく必要だと思っていた帳票だけど、改めて考えてみるとそれなりの理由があることがわかった」らしい。ハハハ。

そうねぇ、例えば、基本台帳ひとつをとってみても、氏名や性別、年齢。障害の程度や、要介護度、生活歴や既往歴など、様々な情報が入っている。情報がなければ、利用者の名前を呼ぶことすらできない。それでほんとに呼ばないのがいるからねぇ・・・。まったく!


●なんのために記録するのか●.jpg

●なんのために記録するのか●



アセスメントシートもその方の現在の情報を知るためには必要なツールである。麻痺が「あるのか」「ないのか」、コミュニケーションは図れるのかなどなど、支援するのに即必要となる情報ばかりなのだ。

1.支援をするために必要な帳票(演習・講義)
そのような重要な帳票類であるが、皆さんの事業所にはこれらの帳票の書き方マニュアルはあるだろうか? 挙手を求めたが、残念ながらしっかり「はい」という方はいなかった。

前回にも述べたように本来、これらの帳票類には、書き方見本(凡例)というモノがあって、誰が書いても書いている内容が同じにならないといけないのだ。

そうであるならば、この帳票を用意した事業所が、書き方例を示すべきである。そこで必要になるのが、記録マニュアルなのだ。

なんでもマニュアル、マニュアルというわけではないが、マニュアルがないのは、たいがい「行き当たりばったりでやっている」か、「毎回違う方法で、同じやり方はできない」ことが多い。

介護技術を「理屈じゃない! 感覚で覚えるんだ!!」なんて言っている施設は、利用者さんを何回も転ばし続けることになるだろう。

むかしC市にでですな、マニュアルもなく、訓練もそこそこしかせずに開業し、3日目で3人ぐらい骨折者を出して、1か月で施設長が・・・。そういう所はともかく、マニュアルとは、それらの行為を十分に理解していないと書けないものなのだ。


●課題分析の情報源●.jpg

●課題分析の情報源●


●千葉のパティシエ(pâtissier)の「作品」を堪能する●.jpg

●千葉のパティシエ(pâtissier)の「作品」を堪能する●



さて、佐藤は、様々な場所で記録の書き方研修をしてきたが、参加者からは「書く時間がない」とか、「このように書くのは難しい」などといわれまくりなのだ(笑)。また、「簡潔な書き方はありませんか?」などといわれることも。そこで介護記録とは何か、そこで、必要となる内容はどのようなことなのか、いつ書けば良いのかなどを講義しながら、皆さんが中心になって、是非事業所独自のマニュアルを作成してみてはいかがでしょうかと提案しているのである。

2.記録の書き方トレーニング(講義)
ここでは、医療が求める記録と、介護が残す必要がある記録との違いについて話をした。

昭和62年に「社会福祉士及び介護福祉士法」が制定された後、我々、介護職を育成したのは、医療職(看護職)であった。むかしは医療報酬や加算が変わるたびに、看護師さんは医療と介護の現場を行ったり来たりさせられることも多かった。

しかし、今は、いったん介護現場で慣れてしまうと、医療現場にはなかなか怖くて戻れないという。それだけ医療の進化は凄まじいともいえる。

さて、そういうしがらみの中で、記録を指導するときには、「要点をまとめて簡潔に書くこと」が求められた。まぁ、いわゆる観察記録である。

しかし、平成の時代に入ると、介護保険法が制定され、介護に注目が及ぶようになる。いや、結局、医療費削減のため、医療と分離したはずの介護に再び医療を近づけたのだ。

したがって、いよいよ介護記録が重要視されるようになってきた。「お金が動く」ところではお役所は必ず、細かい記録を(誰も読まなくても)書かせたがるのだ。

でも、介護は、利用者の生活の多様性を支援する行為なのであり、「おむつ交換をしました」「風船バレーに参加しました」「腰痛の訴え有り」などという観察記録では、「どのような状態であったのか」がみえてこない。

いや、それだけでは「(介護職は)たいしたことやってないじゃないか」とお上に決めつけられかねないのだ。


●何を悩むのか? 千葉のハムレット・・・●.jpg

●何を悩むのか? 千葉のハムレット・・・●



ということで、もう少し詳細な記録、すなわち「関わりの記録」が求められるようになったのである。いや〜介護の自己防衛ですよ、これ。

佐藤は資料を用いて、各帳票がなぜ必要なのか、そこには何を書くのか、これらの帳票は更新する必要があることなどを説明した。皆さんは熱心にマーカーなどを使用して聞いていた。説明が終わると、このようなことははじめて聞いた。帳票を更新していないから更新しないと。などなど気づきを伝えてくれた。


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●介護職の関わりを表現できた●



3.手順について考える (生活の多様性について)(演習・講義)
ここでは1つひとつの介護には手順(介護技術を含む)があることそこでまず、皆さんが洗濯物を家で干す手順を書いていただいた。ただし、「その手順は、佐藤が皆さんの家に行って、その手順書をみれば洗濯物を干せるというような手順にして下さい」と伝え、演習はスタートした。

ここでは、訪問介護の方と施設職員の方の書き方に差が出ることになった(笑)。なぜならば、訪問介護の方々は、行為と手順は違うということをすでにご存知であったということである。もっとも、施設の方々利用者さんの洗濯物を干すようなことはなかなかしないからねぇ。

例えば、「洗濯機より洗濯物を取り出す」というのは行為である。手順とは、@洗濯機まで移動する(洗濯機は脱衣室にあるので、浴室のドアを手前に開ける)。A洗濯かごが洗濯機の上の棚にあるので、それを洗濯機の前におろす。B洗濯機の蓋を上に引き上げる。C洗濯機から、バスタオルを取り出してばさばさと揺すり軽くたたんでかごに入れいる。D大きな物を取り出したら、つぎに小物を取り出して、軽くパンパンとたたいてかごに入れる。などなど。

洗濯物を取り出す行為ひとつをあげてみても、その方の生活がみえてくるのだ。このような手順は、施設で行われる入浴や、排泄、食事、移動などの介助にも存在するはずだ。そのときに決して「うるさい利用者だから」という言葉をつけないでほしい(笑)。その方は自分の生活に主体的に関わっているのだから。

4.生活機能分類について(課題抽出法)※事例参照
さぁ、いよいよ本日の本題に入る。「アウトプット(課題の項目)」を統一するのだ。介護支援専門員の研修では、インプットは課題分析標準項目で行うこととして、統一しているが、アウトプットの出し方は統一されていない。

そこで、介護支援専門員自身の専門職カラーがうきぼりになってくる。例えば、医療職は健康状態に関することが優先され、介護福祉士は、日常生活動作が優先され、PT/OT/STなどの機能の訓練士たちは、訓練に関する内容が優先される傾向がある。そこで佐藤は、せっかく国際生活機能分類という考え方が承認されたのだから、その用語を使用することにした。

厚労省のホームページでは、計画作成の際にはICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)を意識して作成するようにとなっている。

そして、計画がそのように作成されれば、介護記録に記載する内容も項目を分類して書くことができる。後に記録を振り返り情報を得るときも、その項目を探せばみつかるというもの。ここでは、資料を用いてICFの構成要素「心身機能・活動・参加・環境」について、介護の現場でしていることを例題を用いて解説してみた。

5.記録の書き方トレーニング(演習)
今回の介護記録の演習課題は施設バージョンである。
施設には、介護職員の他に、看護師・介護支援専門員・相談員など様々な専門職が1人の利用者のために活躍している。

そこで、今回は、事例に相談員・介護支援専門員・看護師・介護職員に登場させて、1人の利用者にどのように関わって問題(?)を解決して行ったのか?というダイナミックな物語を想定して演習を行った。

佐藤が事例を読み上げる。次ぎにグループでどの場面の記録を書くかを相談する。グループで書く内容を決めたら、その後はその場面を各自で書いてみる。そして最後にグループでコンセンサスを得るという演習である。

佐藤が事例を読み上げる間、皆さんは興味津々に事例にマーカーをひいていた。そして、読み終わるとどこからともなくため息が(笑)。そうそう、このような問題は何処の施設でも起きるというしろもの。それを全体的に透視してみると、様々な葛藤がみえて来るはず。

皆さんはどの場面を選択して、どのような記録を書いてくださるか。もちろん記録を書くときには生活機能分類を意識して書くというルールは忘れないように。

もちろん、佐藤は演習の間、グループ内を見回り、あれこれアドバイスを伝えていった。しかし、驚いたことに、皆さんは事例をひもときながら、見事に関わりの記録を残しているではないか! 

約2時間半の演習後各グループで話し合いが行われ、ホワイトボードは介護記録で埋まっていく。実は、結果よりも、皆さんが語りあった内容が大事なのだ。なぜならば、そこではそう、しっかりと「ケースカンファレンス」が行われていたのだから。しかも、利用者にとっての最善策を考えていたし、素晴らしいと思う。

最後に佐藤から、解答例を示した。もちろん、解答例には、登場人物のそれぞれが残すであろう記録を書いて案内した。

1つのできごとを解決するために、様々な職種が連携していること。そんなことに気づいていただきき、さらにお互いにどのような記録が残っていると良いのかを理解していただければ良かったと思う。以上が千葉市で行われた研修である。


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●エンディング・・・To Be Continued!●



さて、本当はこの研修会のツボも昨年中にあげねばならなかったのですが、この時期になってしまいごめんなさいねぇ。

研修に参加された方々は、今も熱心にお仕事をされていると思います。どうぞ、皆さん、お元気でご活躍くださいませ! またどこかでお会いしましょう!!

(To Be Continued!)

posted by さとうはあまい at 21:15| 東京 ☁| Comment(0) | 研修会のツボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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