2009年10月26日

奮闘記・第526回 研修会のツボ/東京都

●2009年● 東京都豊島区


介護労働安定センター東京支部

介護職員基礎研修500時間

〜全体をみない政策は破綻せざるをえないの巻〜




佐藤は、介護労働安定センター東京支部で、介護職員基礎研修500時間のひとこまを担当している。


佐藤の担当日は、なんと、あの大型台風18号が日本に上陸したその日であり、急遽この日の授業は順延。台風一過に初日を迎えたわけである。


久しぶりの青空の下、佐藤は池袋駅西口から会場へ向かう。今回の受講生はというと、「人生経験が豊富な人たち」とうかがえた。


ご存じ介護職員基礎研修500時間とは、


●今後、ますます少子高齢化が進展するとともに、認知症高齢者や一人暮らしの高齢者の増加が見込まれる中で、介護保険制度が老後の安心を支える仕組みとして安定的に運営されるよう、介護の仕事に従事する人材を確保するとともに、介護サービスの質の確保・向上を図ることが重要な課題となっていること。

●介護サービスの質の向上を図る上で、介護職員の専門性を高めることが必要であることから、施設、在宅を問わず、介護職員として介護サービスに従事する職員の共通の研修として、厚生労働省は、平成18年度に「介護職員基礎研修」を創設した。


介護職員基礎研修500時間とは、どのくらい期間がかかるかというと、今回の受講生の場合は、7月21日に始まり、12月11日が終了式とある。


受講生は、この間に授業に出席し続けることと(なんせ、500時間だもの)そして、科目終了時に評価試験(筆記試験)を受けられる。


さらに、施設や、居住型実習及び訪問介護実習等を15日した上で、最終段階の効果測定(筆記試験・実技試験)を受けなければならない。だから、受講生にしてみれば、相当の覚悟と時間を用意してかかる必要である。


それと同時に講師たちも、受講生がよりよい測定結果を出せるように、授業を展開する必要がある。まずは、自己紹介をして授業をスタートした。


佐藤の担当箇所は、長寿社会開発センターが作成した『介護職員基礎研修テキスト 第9巻』収載の「ケアマネジメント技術と生活支援」である。


介護保険制度下で、ケアマネジメントは要となる部分である。だから、テキストを読み進め、途中で佐藤の体験談などのエピソードを交え、いつものごとく個性を全面に出す授業を展開した。




■研修で行ったたこと

◇生活とはどのようなことか

・ケアマネジメントの展開過程。

◇皆さんが考えた「生活とは」(以下、列挙する)

・食べること・寝ること・排泄・遊ぶ・洗う(入浴)・洋服を着る・運動・地域とのコミュニケーション・お弁当をつくる・子育ての場・死なないこと(生きること)・友達と遊ぶ・ラジオ体操・勉強・読書・家族と一緒にいること・歌をうたうこと・たばこをすう・買い物・病気になること・犬の散歩・考えること・笑うこと・音楽を聴くこと・泣くこと・家に住むこと・身支度を整えること・子孫を残すこと・ぼうっとすること(楽に呼吸できること)・情報を取り入れること・掃除する事・自分の生きがいを探していくこと・洗濯をすること・テレビを見ること・恋をすること、などなど。


ううん。いいねぇ、みな人間味があって(笑)。


ちなみに、介護職になってしまった人(笑)の多くは「生活とは何か」と聞くと、食事・排泄・入浴・移動・着替え・掃除・洗濯・調理など、介護行為(専門用語)ばかりを書く人が多くなる。これは専門家のなせる技なのか?(笑)


後半は、介護保険制度の仕組みを伝えた。今回の受講生は熱心な方が多いのだ。だから、休憩時間には、自分のわからないところを明確にするべく、佐藤の周りに集まり(取り囲み)質問を投げかけてくる。いやいや、まことに真剣。素晴らしい情熱である。


そうそう、「こんなこと」今しか聞けないのであろう。



■研修会のツボ

◇介護支援専門員の役割

・介護支援専門員は利用者と社会資源を結びつけるコーディネーターであること。
・社会資源を熟知した専門家であること。


◇サービス提供責任者の役割

・利用者と訪問介護員(ヘルパー)を結びつけるコーディネーターであること。
・介護の専門家であること。


◇二重のケアマネジメントの構図

・介護支援専門員のアセスメントとサービス提供者のアセスメントには違いがあること。
・介護の専門家として、対人援助の技術を高め、情報収集(アセスメント)ができるようになること。


以上、今回のかかわりはあと2日残っている。お互い張り切りましょう。



《介護界と周辺の問題・番外編》

ちまたで、長妻厚生労働大臣が、この「介護職員基礎研修」の実態把握に乗り出したと聞く。実は平成18年度にスタートした「介護職員基礎研修」については、もちろん当時から賛否両論がありました。


良い点は、もちろん、質の確保にある。先述したが、この研修には効果測定がある。だから、おのずと受講生は積極的に学ぼうとするし、知らない知識を覚えたり、再認識することになります。


悪い点のひとつには受講料がかかるということです。もちろん教育訓練給付制度も適応しているにせよ、です。


この教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする雇用保険の給付制度です。


※ 制度の詳細、指定教育訓練講座の検索については、「厚生労働省」のHPをご参照下さい。

http://www.mhlw.go.jp/kyujin/kyoiku/index.html


※ 教育訓練給付金の支給の対象となる教育訓練の指定基準については、「中央職業能力開発協会」HPをご参照下さい。

http://www.kyufu.javada.or.jp/kensaku/T_M_kouza


そして、問題は500時間というハードなスケジュールを頑張って終えたところで、求人先のお給料が少ない。


もっとも、こちらは現状働いている現場の人の賃金が安いということです(厚生労働省が「2009年度介護従事者処遇状況調査」を開始した。これから実態が見えてくるはず)。


また、介護職員基礎研修500時間を受講した場合、介護資格の頂点である「介護福祉士」を受験する時に、はたしてこの資格がどのように活かされるのかが、はなはだ不明な部分が多い。


この研修が全く普及していないし、“朝礼暮改”の政策ではうかつにそんな時間やお金なんか誰がかけますかね? みんな仕事やお金に困っているんですよ、みなさん。


プロとしてお金をもらう以上、一定のレベルの力を保持、向上させる努力は必要です。これは医師も看護師も、教師も、警官も政治家も同じです。


しかし、研修を押しつけ過ぎてみんながその職から離れてしまえば、そんな研修なんの意味もない、とうことになる。さてさて、長妻厚生労働大臣がどう動くか興味深い。


まぁ、政府が自民であれ、民主であれ、介護現場の報酬の向上に目が向いたのは良いこと。でも、現場の介護職を支えている職種はまったく無視。政府は介護職の給料だけをとにかくあげればいい、という感じだ。周りの協力が得られないでやれるほど、まだ強くはないのですよ、彼らも。


いま、世間一般が不況の中に沈んでいる。なのに介護職に対してだけに救いの手をさしのべて、あとは知らない。では国民の理解は得にくいでしょう。長年、医師を厚遇してきた結果(実は勤務医は過酷であることを国民は理解しない)だから同情なんてしない。


でも、これは一部誤解であります。実は、開業医さんが優遇されて来ただけ。たしか、開業医は収入の40%くらいを領収書なしでも自由に経費に使えるらしいですよ。


これがもし本当ならこういうのを放って置くのは、長妻厚生労働大臣、年金とおんなじゆゆしき問題でしょう。


介護職の報酬も大事である。しかし、佐藤のような介護職を教える講師の報酬は軒並み落とされている。中堅以下の講師達はこんな報酬ではやれないのでどんどん撤退している。


研修だ、研修だ、と騒いでも、本当に介護職員基礎研修がみんな本気でやろうとしても講師をそろえられるところは、ほとんどないだろう。


いままでは、幽霊専任講師(実際は掛け持ち)が許されたが、各資格の免許などのコピーが必要となり、さらに講師の数も質も確保が難しくなった。


自組織の中で、まだ自分が勉強中の、若手有資格者に安い金で請け負わせているのが現状。これでは数だけ増やしても、利用者さんクレームは拡大し続けるだろう。


やんばダムの問題も重要だが、あまり経費削減を押しつけて、持続不可能な子ども手当を創設するために、扶養者控除の廃止するなどは事実上の“増税”でしょう。


別に国民は民主党が好きなわけではない。生活を良くしてくれると期待しているだけです。こんな穴だらけのマニフェストに固執し続けると、かつての平家のように瞬時に没落しますよ、鳩山首相! 早く目が覚めてくれることを望みます。


新人議員の研修が無駄にならないことを期待します。まぁ、私事もからんで熱くなりました(笑)。


みなさん、頑張りましょう。



●広島駅の駅ナカの郷土料理屋さん、酔心●.jpg

●広島駅の駅ナカの郷土料理屋さん、酔心●



(いったん、失われた人材も自然も戻らない。失敗したら、環境や条件を戻せばいいという訳ではない。戻ると思うのは人間の驕りであろう。To Be Continued!!)
posted by さとうはあまい at 20:51| 島根 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 研修会のツボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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