2008年06月16日

奮闘記・第239回 読んでみた!/東京都

●本の分野● 評伝

工藤美代子・著

ラフカディオ・ハーンの生涯(日本編)

神々の国 』 を読む!


(2008年6月某日 群馬県・高崎駅くまざわ書店で購入)



 佐藤が、そもそもハーン(小泉八雲)先生に興味を持ったのは、島根県松江市の小泉八雲旧居にうかがってから。

 なにしろ、松江に向かうのは出雲空港から入るルートと、山陽新幹線で岡山を経由し、特急やくも号で来るルートがだいたい。その「やくも」とは小泉八雲先生の八雲なのです。

 そして、ハーン先生が書かれた『日本の面影』(翻訳)を読み、小泉八雲旧居の庭に咲く、四季の花々に興味をもち、北側の池の小動物にも興味を深めていったのです。

 だが、断片的にしかハーン先生に関する知識がない。熊本旧居にも、神戸居宅跡にも行き、明治村では、夏休みには泊まりに行っていた静岡の宿、そして大久保の終焉の地にも行ったのにぃ(笑)。

 だから、この本でハーン先生を少しでも知ることができるかな?と思い、興味津々で読みはじめたのですが、いやはや、ものすごい迫力。まるで映画の観客にでもなったような醍醐味を味わうことができました。

 この『神々の国 ラフカディオ・ハーンの生涯(日本編)』では、まさしくハーン先生が日本に上陸し、どのようにして、日本人とかかわり、家族をもち、やがて「小泉八雲」となって、日本人として生き抜いていったのかが描かれています。。

 ハーン先生は、40歳で横浜から入国。やがて、松江に移り、セツさんと結婚。その後セツさんの身内を引き連れて、大家族で、熊本・神戸・大久保へと住居を移し、最後大久保で54歳の人生を閉じるのですが、この本は、ハーン先生が日本の中を移動していった通りに、本の項目が、「横浜」「松江」「血族」「熊本」「隠岐・三角」「神戸」「東京・焼津」「西大久保」「晩節」となっています。

 そして、著者は、ハーン先生が、日本人として生き抜いた様子を、様々な文献を引用・活用し、さらに、著者の感性を織り交ぜ、分析され、まとめられていました。

 附記してある、参考文献は、日本の書籍や、小泉八雲全集や雑誌。更には英語の書籍などと、それは、それは幅広い分野でハーン先生の功績を研究し、執筆していることがわかります。もちろん、良いことばかりが書いてあるというわけではなく、批判もキチンとされている。

 だから、読み進めていくと、まさしく当時の状況が、ビジュアル的に頭の中に浮かび上がり、まるで映画のように場面が目の前に写し出されます。

 その中で、ハーン先生が家族に注いだ愛情の深さを見て取ることができます。また、セツさんが、ハーン先生と、こども達をどのくらい大切にしていたのかをも知ることもできました。

 そして、最後の項目である「晩節」、八雲立つでは、小泉八雲という、文学者(または教育者)が亡くなるまでの過程がしっかりと描写されていました。そして、先生没後の長男・一雄さんと、セツさんとの心の葛藤なども客観的に描かれていたのです。

 佐藤は、読後、セツさん、お子さんたち、更には兄弟での争いごとは他人事とは思えません。どこの家庭でも、一家の生活は誰かが集中して支えているものでしょう(だいたいが父親)。「その柱」を先に失ってしまえば、一般のどの家庭でも起り得ることであり、また仕方がないことなのでしょう。

 それにしても、このようにラフカディオ・ハーンという人間を、愛情を持って分析・評価し、その価値の再発見に成功したと思います。

 手に取ったときは、「でも、いまなぜラフカディオ・ハーンなのかな?」と思いつつ読みましたが、読み終わると「でも、やはりいま、ラフカディオ・ハーンだろうなぁ」と思ってしまうから不思議(笑)。

 異国の地で、その風習を愛し、時には格闘し、その国の人を愛し、また格闘し、その国の人間になり、その国の人間として永眠する。ハーン先生は、その人生を濃厚に生き、駆け抜けた人なのです。54年は短くて長い。

 佐藤は、新たにこの本も参考にし、さらにさらに、ハーン先生の足跡を辿り、ハーン先生の考えや感情などに思いを馳せてみたい。みなさんも気になるかたの評伝(伝記)を読んでみてはいかがでしょう? きっと自分の中で何かが変わりますよぉ。ではでは。



【本のデータ】

『神々の国 ラフカディオ・ハーンの生涯【日本編】』

 工藤 美代子(著) ランダムハウス講談社文庫、2008年、

 定価:本体920円(税別)


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図1 松江駅の今井書店でも売ってますぞ(笑)


(To Be Continued!)

posted by さとうはあまい at 17:05| 島根 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んでみた! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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