2018年11月30日

奮闘記・第1071回 研修会のツボ/長崎県

●2018年● 長崎県五島市

社会福祉法人五島会 主催・介護職員研修

「介護記録の書き方」


皆さま、お久しぶりです。朝夕は寒いし、昼間は暑いしで、着る物に困りますね。今回のブログは先だって研修を行った、長崎県の福江島にある、社会福祉法人五島会さんの主催による「介護記録の書き方研修」を報告しましょう。


さて、ここ福江島は、長崎県五島列島にある1番大きな島である。

佐藤は例のごとく、研究所員の「ひゃ〜参謀」と共に、前日に羽田空港から長崎空港、JALとANAを乗り継いで福江空港に降り立ち、無事に島に入れた。


●福江空港から入ります●.jpg

●福江空港から入ります●


●研修前に島内の五社神社に参拝●.jpg

●研修前に島内の五社神社に参拝●



そして電気自動車をレンタルして島内を見聞してみた。乗り心地は静かで穏やかにして、燃費というか距離があまり・・・。その内容は、おそらく書類に埋もれてなければ、後日見聞録にてたっぷり(さて?)報告する予定にして未定として、まずは研修会の報告からである。


目的:この研修は、社会福祉法人 五島会で働く介護職員を対象に、介護記録に求められる役割とは何か。その役割を残すために求められる介護記録とその書き方について、共通認識を図ることを目的とし、その上で、介護職員が記録を書くことに意欲と自信が持てるように支持する。

研修は、介護老人保健施設 五島福寿園さんにて開かれた。時間は18:30〜20:30。この日は夕方から雨が降り始めていた。そんな中、会場には、老人保健施設の介護職員の方々はもちろん、五島会さんが運営する、複数のグループホームの職員総勢70名余りが集まっていた。


●バラモンくんも参加●.jpg

●バラモンくんも参加●



■研修会で行ったこと
(1)大事なものは目に見えない「目配り・気配り・心配り」とは。
(2)記録が無いと困ること。実際どうしているか。
(3)演習問題から記録を考える。


今回の資料は、

 @基本資料(演習課題)
 A介護記録の書き方(演習の回答例)
 B提供して頂いた介護記録から

以上3本である。

@基本資料(演習課題)とA介護記録の書き方(演習の回答例)には、2017年10月に中央法規出版「おはよう21」の特集記事で掲載した内容をベースにした。

B提供して頂いた介護記録からは、施設長谷川氏)が、事前に各事業所で書いた記録を選抜し、コピーしたものを郵送して頂き、その記録内容を、佐藤が添削・改善例を作成し示したものである。


●佐藤の話を集中して聞く●.jpg

●佐藤の話を集中して聞く●


●記録には何を書くのか●.jpg

●記録には何を書くのか●



1.大事なものは目に見えない「目配り・気配り・心配り」とは
さてさて、「大事なものは目に見えないんだ(L'essentiel est invisible pour les yeux.)」
うん? どこかで聞いたセリフである。

そう、サン=テグジュペリの小説『星の王子さま(Le Petit Prince)』の中でのキツネさんのセリフである。佐藤は星の王子さまの本の中から、「ヒツジの絵に関する項目」の一部分を皆さんに伝えた。

お話の中で、僕(サン=テグジュペリ)は、不時着しておかしくなった飛行機を一生懸命直していた。

なんせ直さないと生きて帰れないからねえ。切羽詰まっていたのだ。
そんなところに、王子さまが現れていきなり「ヒツジの絵を描いて!」というのだ

僕は、飛行機を直すのに夢中になっていると、さらに大きな声で「ねえねえ、ヒツジの絵を描いてったら!!」というのだ。

そこで、僕は機械いじりの手を休め、ヒツジの絵を描いた。
すると、「これは、だめ! こういうのを描いて」という。

僕が、他のヒツジを描くと、「それもダメ!」という。
僕は、もう一匹のヒツジを描くが「それもダメ!!」という。
僕は、早く飛行機の修理に戻りたかったので、四角い箱に空気穴を付けた。

「君のヒツジはこの箱の中にいるよw」と箱の絵を描いて渡した。

すると、王子さまは、先ほどまでふさぎ込んでいた顔を上げて、箱をのぞき込み
「わー! 僕が欲しかったヒツジはこれだよ」というのである。

ここで、佐藤は、先ほど購入した四角い箱を取り出して、そう「大事なものは目に見えない」だからこそ、我々はその方と語り合ったり、そばに寄り添い、知ろうとすることが重要だという話をした。


次に、会の理念「私たちは、社会福祉法人五島会の全事業所における介護サービスの提供にあたって、利用者中心であることを基本とし、サービスを受ける利用者の満足、サービスを提供する職員の満足を追求するために、目配り・気配り・心配りの理念に基づいてサービスの提供を行うこととする。」とある。

まさしく「この目配り・気配り・心配り」というものこそ、目に見えないものではないか!
では、その目には見えないこれらの「目配り・気配り・心配り」であるが、皆さんが実際にしていることとはどのようなことなのかをを考えて頂いた。

演習「目配り・気配り・心配り」とは何か
まずは自分で考える(3分)。次に、お隣同士で考える(5分)を行った。

目配りとは、「体調が悪くないか、観察する」あるいは「転ばないかと見守る」、または「きちんと食べられたか把握する」など。

気配りとは、「寒くないかな」「トイレに行きたいのかな」「気持ちいいかな」等と気遣うことなど。

心配りとは、「辛いのかな」「楽しくしているかな」とか気分(精神的変化)を伺うなどなど。


皆さん自分で考え、他の方と語り合うことで、自分たちがしている「目配り・気配り・心配り」について確信が持てたようであった。

一方では、目配り・気配り・心配りのサービスを改めて考えると奥が深いなどとの意見も聞くことができた。


●課題に取り組む参加者●.jpg

●課題に取り組む参加者●


●意見を交換する●.jpg

●意見を交換する●



2.記録が無いと困ること。実際どうしているか
次に、「記録が無いと困ること。実際どうしているか」をワークのページを用いて書き込んで頂いた。

佐藤は先ほどから会場内を歩き回り、皆さんが書いている文章を見て歩いている。その時に思ったのは、皆さんがまじめに取り組んでいるということだ。

もちろん、研修に参加しているんだがら、「当たり前でしょう」と思うだろうが・・・。

いやはや、会場をめぐっていると、実際、佐藤の問い合わせの箇所に、全く何も書いていなかったり、他者とおしゃべりをしているなんてこともざらにあるのだ(笑)。

それが、ここでは皆さんは与えられた時間の中で一生懸命課題に取り組んでいる。

さてさて、「記録が無いと困ること」にあがってきたのは、下記内容(これは想定通り(笑))
・体温・血圧・その日の体調・食事量・入浴の可否・排便の有無などなど。

中には、「拒否のある方にどうやって食事を食べて頂けたのか」などの記述もあった。

ここからが、本題である。
佐藤は、介護保険の理念は「自立支援」であること。そのためには、利用者の生活機能を維持・向上する必要があることを説明した。

この生活機能とは、
「心身機能」「活動」「参加」を指していること。

「心身機能」とは、まさしく「体温・血圧・その日の体調・食事量・入浴の可否・排便の有無」等で利用者の健康に関する支援であること。
「活動」とは、「拒否のある方にどうやって食事を食べて頂けたのか」あるいは、「転倒予防」のためにしている具体的な援助方法であったり、さらには「していることやできること」に対する介護技術などであり、すなわち、日常生活動作に関する支援であること。
「参加」とは、レクリエーションの提供やお手伝いなど、他者との交流や、役割の提供、社会性の維持に関する支援であること。

しかし、介護記録を読むと、どうしても「心身機能」に重きをおいた記録が多くあるのだ。

もちろん、介護職にとっても、心身機能に対する支援も重要だが、その支援の専門家は介護職ではなく、医療職なのだ。

介護職の専門分野は、本来は活動や参加のはずであろう。すなわち、利用者の日常生活動作(活動)に対しては、利用者のしていること、できることを維持向上するために、介護職は、

「うまくできるようにもう少しだよと励ましていたり」
「転ばないように注意を喚起したり」
「うまくできるように見守っている」

のだ。さらには、例えばトイレにお連れしたときに「手すりにつかまってください」と協力動作を依頼し、本人がつかまり立ちをしてくださったことで、ズボンをうまくはけた場合などは「ありがとう」と感謝を伝えたりしている」のわけ。

また、Aさんと、Bさんが、うまくかかわることができるように間をとりもって、「言葉の橋渡し」などをしている。作品作り等をしていた時、うまくできたら「すごい!」「素晴らしい」「さすが」などと本人がしたことを認め称賛したりしてもいる・・・であろう。

つまり、記録には、これら介護職が「活動」に対してしている支援や、「参加」に向けて「提供した介護技術」についてを書く必要があるのだ。

また、利用者の生活機能には、背景因子といわれる、環境因(家族や地域の人々)と個人因子(価値観)がある。

特に、家族とのかかわりや、地域(ボランティア)とのかかわりは、「家族が来ました」や「○○さんと話していた」などの観察記録ではなく、自らその中に入り、話題を振ったり関われるように振る舞ったりし、どのようにしていたのかを具体的に書く必要があることを伝えた。

佐藤は、この部分を熱く熱く語ったので、皆さんも、時々大きくうなずかれたり、思い出し笑いをされたりしていた(うーん、まことに良い反応である)。


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●いよいよ記録ですよ●



3.演習問題から記録を考える
いよいよ演習問題である。

演習問題
心身機能・活動・参加・環境にに対する支援内容が、物語として書かれている。研修の残り時間は約1時間である。

佐藤は、グループホームの職員には、「参加」に関する問題を。施設の職員には「活動」に関する問題を取り組んで頂くことにした。

そして、それぞれの物語を読み上げた。皆さんは、佐藤が読み上げる文章を目で追いながら、実際の支援の場を思い出されているようであった。

それぞれを読み上げいよいよ記録を書いて頂く。

まずは自分で考える(5分)。隣同士で考える(5分)とした。

もちろん、佐藤は再度会場をめぐり皆さんが書いた内容を読んでいく。いやぁ。すると、皆さんのノートには、ちゃんと文章が描かれているではないか! これ、すごいことですよ。

なんせ、よく見かける「○○○」と声をかけたとか、転倒しないように見守るなどという簡素な、というかコピペ文章ではない。

それは「これから車いすへ移ることを説明し・・・」とか「壁飾り制作にお誘いすると・・・」などなどである。

すなわち、その場で介護職員が利用者に対して、何をしているのかがしっかりわかるように表現できていたのだ。


最後は、参加者からノートをお借りして、そこに書かれた文章を読み上げた。それは素晴らしい内容であった。これだけ書くことができれば良いのでは(笑)。会場からも拍手がおこった。

最後は、時間の許す限り「提供して頂いた介護記録から」を用いて、解説した。

皆さんが書いた記録は「事実を客観的に書いた」そのものの記録である。もちろん、事実が記載されているのだからこれが間違いというわけではない。

ただ、事実だけで、介護職がしている「目配り・気配り・心配り」が見えてこないのである。そこで、佐藤がその場面を想定して、文章に肉付けを施し「改善例」とした。

合計15個の改善例を作成した。もちろん、場面設定は佐藤が考えているので多いに違っていると思いますが・・・。

これにて、佐藤の研修は終了! 最後に職員が中心になって「介護記録の書き方マニュアル」を作成することも良いのでは無いかと提案した。


最後に質疑応答である。

司会者が参加者に質問を求めると、何と数人の方が手をあげられた(これもすごい)。なかなか、質問をといっても質問なんて出ないことがほとんどですからねぇ。

まぁそもそも、自社の研修風景をブログに載せてもよいですか?と尋ねると、「どうぞどうぞ」である。これも自信がなければできない。

以前の指導者なら、やれ、ああだこうだと、載せる前に原稿を見せろだの、都合の良い赤字を入れさせろだのという、ちょっと勘違いしていた方もいた(他者のブログに手を入れるなんて聞いたことがない)。しかも「大したレベルじゃなかったし」(ひゃ〜参謀)というのと比べて、現代の指導者層は進化している。


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●皆さんからの質問に答える●



佐藤は出された質問をため込み、一気に答えていく。

中でも「利用者からの乱暴な言葉」や「利用者同士の言い争いのときの言葉」(暴言対暴言)はどうしたら良いかという質問。

これは利用者の感情の表出として捉え、そのまま記述するように伝えた。さらに、重要なことは、そのようなことがあったときの職員のかかわり方が重要であるということ。

利用者から職員に向けられた暴言は、その言葉を出すにいたる原因があるはず。だから、その原因を書いてどのように対処したのかを書く必要があること。もしかしたらその暴言は「苦情」である可能性もあるので、暴言は慎重に取り扱う必要があることを伝えた。

また、利用者同士の暴言は、その多くは、職員が自分を看てくれないことから来る八つ当たり、あるいは焼きもちであったりする場合が多いことを説明。すると、他の参加者も大きくうなずいている。

まぁ、我々はどうしてもも手のかかる(依頼が細かい方や諦めない方。通称やかましい方)を優先してしまう。その半面、余り要望を言わない(表情に出さない穏やかな人)には、「ちょっと待っててください」といい、その仕事が終了した後で、もうそのことを忘れてしまった等ということもままあるだろう。

そして、そのようなことが蓄積していくと、あるとき「自分はずーと待っているんだ、バカ野郎」などとドカーンと怒り出すこともあるのだ(なくてそのまま蓄積されるのはさらにこわい)。

それをこちらの取り方で「暴言」と言い切ってしまうのも良くないだろう。

いずれにしても利用者の発した言葉はそのまま記載して良いこと。問題はそのことに対しての職員の対応(かかわり方)も、具体的に書く必要があると返答した。

さてさて、これにて研修は終了である。


●熱心に語り合う●.jpg

●熱心に語り合う●



次の日、施設長からメールを頂き、可能であれば、さらにステップアップした研修をとも書かれていましたし、お話もありました。こちらこそ、有り難いことです。

依頼を頂ければ、駆けつけます。また、鬼岳に登りたいなぁ(笑)。

東京からは西国に位置するとはいえ、寒い季節になります。皆さま、くれぐれもご自愛くださいませ!



●ジョイフル 長崎五島店で夕食●.jpg

●ジョイフル 長崎五島店で夕食●


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●福江港から帰ります●



(広島カープの丸選手が予想通りFAで巨人に移籍らしい。これで広島の強さはもう少し伸びるかも知れない。何十億はともかく、6年契約なんて、呼んでくれた監督がいるかわからない。監督が代われば要らなくなることもあるからね!To Be Continued!!)
posted by さとうはあまい at 20:45| 島根 ☁| Comment(0) | 研修会のツボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする